日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に切除した卵巣癌術後孤立性脾転移の1例
鈴村 和大岡田 敏弘吉田 康彦近藤 祐一飯室 勇二藤元 治朗
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2011 年 72 巻 5 号 p. 1277-1282

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抄録

症例は62歳,女性.2003年3月に卵巣癌にて当院産婦人科で手術および化学療法を施行.その後外来経過観察中,血清CA125の上昇を認めたためFDG-PET検査を施行したところ,脾臓に異常集積像を認めた.腹部CTにて脾臓内に腫瘍性病変を認め,卵巣癌の脾転移を第一に疑ったが,原発性脾腫瘍の可能性も否定できず,診断目的にて2010年4月に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査にて卵巣癌原発巣の組織像と類似する腺癌であったため,卵巣癌の脾転移と診断した.術後経過は良好で術後第6病日に退院となった.退院後は当院産婦人科にて化学療法を行い,術後4カ月の現在,無再発生存中である.卵巣癌術後の孤立性脾転移の報告はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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