2011 年 72 巻 5 号 p. 1287-1292
症例は49歳,女性.前医で子宮筋腫の診断で開腹.回腸間膜原発10cm径の充実性腫瘍で回腸間膜を含めて80cmの回腸切除術を施行.病理診断はc-kit(+~-),CD34(-),SMA(+),S-100(-),MIBI 10%で未分化多形肉腫(多形型MFH)と診断された.3度目の腹膜再発後に紹介され回盲部切除+S状結腸切除+腹膜移転巣9個切除し,残存空腸70cmであった.7カ月後腹膜再発したが,短腸症候群のため切除術ではなく化学療法の適応とした.IF0+VP16,CDDP+DXR 4クール後CRとなったがCR 14カ月継続後に腹膜再発した.腎機能低下のためプロトコールを変更し化学療法を継続したが,17カ月後に腸閉塞症状を発症し,在宅中心静脈栄養で全身管理後に全身状態悪化し永眠された.初回手術から6年後であった.腹部軟部悪性腫瘍は稀な疾患であり,手術に加えて化学療法を含めた集学的治療が必要であるが,整形外科,腫瘍内科医などと連携しつつ有効な治療法の検討が必要である.