日本臨床外科学会雑誌
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原著
食道扁平上皮癌におけるKi-67標識率の臨床病理学的意義
田畑 光紀宮田 完志湯浅 典博竹内 英司後藤 康友三宅 秀夫永井 英雅小林 陽一郎梶浦 大伊藤 雅文
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1347-1354

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抄録

背景:Ki-67標識率(%)(以下MIB-1)は細胞増殖率の代表的な指標で,肺癌・乳癌・などでは多くの研究がされてきたが,食道癌では臨床病理学的因子・予後との関連には一定の結論がない.目的:食道扁平上皮癌の原発巣におけるMIB-1と臨床病理学的因子との関連を検討し,予後の指標になるかを明らかにする.方法:対象は2006年から2008年までに根治切除を施行した術前未治療の食道扁平上皮癌25例.切除標本原発巣のMIB-1を測定し,臨床病理学的因子,予後,術前FDG-PETにおける原発巣のmaxSUVとの関連を検討した.結果:MIB-1は平均42.3%(13.0~73.2%)で,リンパ節転移(P=0.002),病期(p=0.007)と有意な関連を認めた.MIB-1は40%をカットオフ値すると無再発生存率に有意差を認めた(p=0.035).またMIB-1はmaxSUVと相関のある傾向を認めた(p=0.051).結論:MIB-1はリンパ系進展や病期と関連し,予後の指標となる.MaxSUVは予後予測因子となる可能性がある.

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