日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳腺基質産生癌の1例
村木 愛堀 明洋森岡 淳岡本 哲也芥川 篤史浅羽 雄太郎
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キーワード: 基質産生癌
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1388-1393

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抄録

症例は41歳,女性.2007年10月の検診マンモグラフィ(MMG)で左乳房の局所的非対称性陰影を指摘されたが,2008年1月の精査では異常を認めず,2008年9月のMMGも異常はなかった.しかし2009年7月右乳房腫瘤を触知し当院を受診した.触診では右乳頭直下に弾性硬腫瘤を認め,MMGでは右M領域に辺縁微細鋸歯状,高濃度腫瘤を認めカテゴリー4であった.超音波検査では辺縁不整,内部不均一な30×23mmの腫瘤を認めカテゴリー4であった.造影CTでは腫瘤辺縁がリング状に造影された.針生検を施行し,基質産生癌と診断した.ER,PgR,HER2は全て陰性であった.胸筋温存乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.病理診断は基質産生癌で,腋窩リンパ節転移(1/19)を認めた.術後補助化学療法を施行し,現在無再発生存中である.基質産生癌は頻度が低く,本邦報告例の検討と文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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