2011 年 72 巻 6 号 p. 1400-1404
Osler-Rendu-Weber病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は常染色体優性遺伝による稀な遺伝性疾患で,鼻出血,毛細血管拡張,内臓病変,遺伝性を疑わせる家族歴のうち3項目が存在する場合に確定診断される.癌との関連は示唆されてはいないが症例報告が散見される.
今回われわれは珍しい病態であるOsler病と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併した乳癌患者で,喘息と心房細動(Af)と肥満も合併した貴重な症例を経験したので報告する.
症例は73歳,女性.右乳房のしこりを主訴に外科紹介受診した.ITPを合併しており,ピロリ菌の除菌治療中であった.Osler病で喘息と肥満,Afを合併していた.右乳癌の診断で全身麻酔下で右乳房切除術施行した.併存疾患で手術困難と思われたが術後経過良好で,現在も外来通院中である.