日本臨床外科学会雑誌
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症例
薄壁空洞を呈した原発性肺癌の3例
砥石 政幸近藤 竜一矢満田 健
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1431-1439

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抄録

原発性肺癌のうち薄壁空洞を形成する例は稀とされている.当院にて経験した3例について報告する.症例1は80歳,女性.左S1+2に2cm大の薄壁空洞を認めた.PETではSUV max 1.65の集積,約6カ月の経過で壁の一部が結節状に肥厚,原発性肺癌を疑い左上葉切除術+ND1bを施行した.乳頭型腺癌,pT1aN0M0 stage IAであった.症例2は56歳,男性.右S6に4cm大の薄壁空洞を認めた.気管支鏡にて低分化癌の診断,右下葉切除術+ND2a-2を施行した.腺扁平上皮癌,pT2aN0M0 stage IBであった.症例3は61歳,男性.右S3に1.5cm大の薄壁空洞を認めた.気管支鏡にて扁平上皮癌の診断,右上葉切除術+ND2a-2を施行した.pT1aN0M0 stage IAであった.薄壁空洞を認めた場合,原発性肺癌も念頭に置き精査を行うこと,また,診断を兼ねた外科的処置を積極的に考慮することが肝要と思われた.

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