日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
孤立性眼窩転移による眼瞼下垂から診断された残胃癌の1例
薮崎 紀充森 俊明石山 聡治横井 一樹鈴木 祐一伊藤 不二男
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 72 巻 6 号 p. 1444-1447

詳細
抄録

症例は70歳,男性.1カ月前からの右眼瞼下垂を主訴に内科を受診し,精査で右眼窩腫瘍を認めた.悪性腫瘍を疑われ,全身検索を施行したところ残胃吻合部に2型腫瘍を認め,生検で低分化型腺癌の診断であった.胸腹部に転移所見は無く,残胃全摘術の後に眼窩腫瘍の生検を行ったところ,眼窩腫瘍にも低分化型腺癌の所見を認め,胃癌の孤立性眼窩転移と診断した.現在は眼窩腫瘍への放射線照射+化学療法(TS-1)を行っている.転移性眼窩腫瘍は稀であり,予後不良の疾患であるが,放射線や化学療法による集学的治療によって予後は改善しつつあるとされる.その中でも胃癌の孤立性眼窩転移の症例は少なく,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2011 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top