日本臨床外科学会雑誌
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症例
TS-1+CDDPにより腫瘍の縮小を得て切除した進行胃癌の1例
佐藤 毅森脇 稔加茂 知久高山 忠利
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1448-1452

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抄録

患者は黄疸と瘰痩および腹部腫瘤を主訴に来院し,精査の結果,胃角部を中心に1/3周を占める長径15cmの3型の腫瘤で,生検ではadenocarcinomaであった.腹部CTではNo3,5,8および肝十二指腸間膜内リンパ節は一塊となり,胆嚢は緊満腫大し肝内胆管も拡張していた.腹水の細胞診はclassVであった.以上よりcP1 cH0 cT3 cN2 cM0 c-stageIVと診断し抗癌化学療法としてTS-1+CDDP併用療法を4クール施行した.腫瘍は縮小し黄疸も消失,肝十二指腸間膜周辺も明瞭になったため治療効果はCRと判断し,4/5胃切除術を施行した.病理組織所見では原発巣はmリンパ節転移所見は陰性であるが,No3に石灰化を伴う肉芽組織があり化学療法後の評価として転移陽性と判定された.以上より進行胃癌に対する化学療法としてTS-1+CDDP併用療法は非常に有効と思われた.術後2年3カ月を経過し再発なく生存中である.

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