2011 年 72 巻 6 号 p. 1461-1464
症例は82歳,女性.慢性関節リウマチに対して2006年からメトトレキサートを内服していた.2009年2月,急激な腹痛を認めて救急車で来院した.腹部全体に圧痛および反跳痛を認めた.腹部CT検査で腹腔内遊離ガスおよび腹水を認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.腹腔内には混濁した腹水を認め,終末回腸に径2mmの穿孔部を認めた.また,小腸間膜には多数の腫大したリンパ節を認めた.回盲部切除術を施行した.切除標本内に回腸潰瘍を認め,潰瘍底が穿孔していた.病理組織検査でEpstein-Barr virus陽性B細胞性リンパ腫と診断した.メトトレキサート治療中に発症したリンパ腫による消化管穿孔の本邦報告は4例とまれである.本疾患について若干の文献的考察を加えて報告する.