日本臨床外科学会雑誌
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症例
MDCTのmultiplanar reformation像が術前診断に有用であった盲腸軸捻転症の1例
堀尾 卓矢神藤 英二矢口 義久坂本 直子前原 正明長谷 和生
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1470-1473

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抄録

盲腸軸捻転症の1例を経験した.症例は65歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し急性腹症の診断で当科紹介となった.multi detector-row CT(MDCT)のmultiplanar reformation(MPR)像により腸管の軸捻転による絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では,回盲部が腸間膜を軸として反時計回りに180度捻転していた.用手的に捻転を解除したが,虚血性変化が著明であったため,回盲部切除を行った.
本症は特徴的所見がなく,術前診断が困難なことが多いが,病態は絞扼性イレウスであり,診断が遅れると穿孔から死に至る危険性がある.MDCTは非侵襲的でかつ短時間で行うことができるため,本症の診断に際し有用であると考えられた.

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