日本臨床外科学会雑誌
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症例
緊急手術を要した退形成性膵管癌の1例
佐藤 雄哉野田 和雅井上 暁梅北 信孝蕨 雅大
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1541-1546

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抄録

患者は69歳,男性.2006年9月肝細胞癌に対し肝右葉切除術を施行した.2007年10月のCTにて残肝S2に結節影を認め,肝細胞癌の再発と考え手術予定とした.また,この時のCTで膵尾部の周囲に嚢胞状腫瘤を認めた.2007年12月突然心窩部痛が出現した.CTにて嚢胞状腫瘤の急激な増大を認めた.経皮的に腫瘍を穿刺したところ,内容物は血性であった.進行するDICも認めたため,急速に進行する膵原発の悪性腫瘍と考え,緊急で膵体尾部切除術を施行した.また,肝外側区域の結節に対し,肝部分切除術を施行した.膵尾部の腫瘍は病理組織所見にて退形成性膵管癌(多形細胞癌)と診断され,肝腫瘍は退形成膵管癌の転移と診断された.術後の経過は良好で退院したが,術後71日目再発を認めた.その後全身状態が急激に悪化し,術後92日目に死亡した.

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