日本臨床外科学会雑誌
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症例
単孔式腹腔鏡手術で摘出した腹腔内異物の1例
福留 惟行小林 道也駄場中 研倉本 秋川村 明廣花崎 和弘
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1561-1564

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抄録

より整容性に優れた手術を行う目的で,最近では腹部単一創から腹腔鏡・複数の鉗子を挿入して行う単孔式腹腔鏡手術が注目されており,その適応も徐々に拡大している.今回,単孔式腹腔鏡手術で腹腔内異物を摘出した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は57歳,女性.第一腰椎圧迫骨折で近医整形外科通院中に腰椎X線検査で異常陰影を指摘された.腹部X線検査・腹部CT検査で腹腔内異物が強く疑われた.単孔式腹腔鏡下異物摘出術を施行し,3cmの金属性の異物を摘出した.腹腔鏡手術が普及した現在,腹腔内異物に対する腹腔鏡下異物摘出術は,整容性・術後癒着といった観点から手術方針として異論ないと思われる.低侵襲性については今後の検討を要するが,整容性の観点から単孔式腹腔鏡下異物摘出術は今後も考慮すべき手術方法の一つと考える.

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