日本臨床外科学会雑誌
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症例
横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例
御供 真吾大塚 幸喜板橋 哲也箱崎 将規加藤 久仁之若林 剛
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1589-1594

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抄録

症例は73歳,女性.以前より便秘傾向があった.2009年10月下旬,腹痛が出現し,当院救急外来を受診.便秘の診断にて一旦帰宅するも症状の改善なく,発熱も認めたため翌日再度当院を受診した.再来時のX線写真,CTにてイレウスの診断となり消化器内科入院となった.保存的加療の方針となりイレウス管を留置し経過をみていたが,改善困難と判断され当科転科となり手術を施行した.腹腔鏡下に手術を開始したが,腫瘍性病変も否定できず,また十二指腸とのオリエンテーションがつかなかったため開腹へ移行した.横行結腸間膜に3cmの欠損を認め,Treitz靱帯から約230cmの回腸が約15cm嵌頓しており,横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断した.回腸部分切除,横行結腸間膜裂孔閉鎖を施行した.本症はまれな疾患であるが,開腹既往のないイレウスの原因の一つとして念頭に置くべき疾患の一つであると考えられた.

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