日本臨床外科学会雑誌
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症例
出血性ショックを伴い緊急切除した胃噴門部原発悪性黒色腫の1例
豊田 和宏宮本 勝也坂下 吉弘横山 雄二郎藤本 三喜夫中井 志郎
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キーワード: 悪性黒色腫, 胃腫瘍
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1744-1747

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抄録

症例は76歳,女性.2カ月前からの胃部不快感と1週間前からの黒色便を認め,近医から紹介された.来院時は出血性ショックとなっており,上部消化管内視鏡検査では,胃噴門部に一見すると巨大血腫と思われるような出血を伴う黒色の腫瘍を認め,内視鏡的止血は困難であった.CTでは肝および肺に多発転移を認めており,姑息手術として噴門側胃切除術を行った.病理で悪性黒色腫と診断され,他院皮膚科へ転院し,dacarbazine(DTIC)で加療したが効果は乏しく,術後153日目に死亡された.胃の悪性黒色腫は転移性のものが多く,原発例は本邦での報告例は2例のみと非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告した.

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© 2011 日本臨床外科学会
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