日本臨床外科学会雑誌
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症例
Bevacizumab投与中に発症した絞扼性イレウスに対し合併症なく腸管切除,吻合術を施行した1例
森 義之飯野 弥須藤 誠日向 理藤井 秀樹
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1758-1762

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抄録

症例は59歳,男性.直腸癌切除術後,同時性多発肝転移に対しbevacizumab+mFOLFOX6療法を施行した.治療開始から12カ月目,治療効果判定がPDのため,bevacizumab+FOLFIRI療法に変更した.2回目の投与(bevacizumab;合計14回投与)後5日目,腹痛,嘔吐を主訴に当科を受診した.腹部X線,腹部CTで絞扼性イレウスと診断され,緊急手術となった.開腹所見では,Treitz靱帯より約5cmの部位から30cmにわたり小腸が壊死しており,壊死腸管を切除し,手縫いで側側吻合した.術後合併症はなく,術後48日目からFOLFIRI療法を再開した.73日目よりbevacizumabを併用し,7回施行したが,初回治療から23カ月後原病死した.Bevacizumab投与中の緊急手術であっても腸管吻合法を工夫することで創傷治癒遅延に起因する合併症を回避できると考える.

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