日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性小腸悪性リンパ腫穿孔術後に血球貪食症候群を合併した1例
工藤 泰崇西川 晋右高橋 賢一森田 隆幸
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1768-1772

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抄録

症例は70歳,男性.右下腹部痛を主訴に当院受診.右下腹部に筋性防御を認め,腹部CTで上腹部に腹腔内遊離ガス像を認めたため,消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断,同日緊急手術を施行した.
回腸末端より口側55cmの回腸に5mm大の穿孔を認め,穿孔部周囲の腸間膜リンパ節の腫大を認めた.
病理標本では,腸管壁全層に異型リンパ球がびまん性に増殖・浸潤しており,正常構造は消失していた.CD20,CD79a陽性,CD3陰性よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.
術後23病日に急激に全身状態が悪化し,24病日に死亡した.剖検では,悪性リンパ腫の腹腔内播種を認めた.脾臓・骨髄で組織球による血球貪食像を認め,血球貪食症候群を合併していた.
今回,穿孔性腹膜炎で発症し,術後に血球貪食症候群を合併して急激な経過をとった小腸原発悪性リンパ腫の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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