日本臨床外科学会雑誌
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原著
乳房自動スキャナを用いた乳癌検出能の検討
佐川 倫子戸崎 光宏福間 英祐
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2011 年 72 巻 8 号 p. 1917-1922

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抄録

目的:乳癌診療において乳房超音波検査(乳房US)は必須だが,問題点として施行者に依存し,客観性に乏しいことがあげられる.これを克服するために開発された技術の一つにAutomated Breast Volume Scanner(ABVS)がある.今回われわれは,マンモグラフィおよびhand-held USと比較したABVS検出能について検討した.
方法:マンモグラフィ,hand-held USおよびABVSを施行した324例のうち,病理組織検査で乳癌と確定診断された連続30例を対象とした.全症例がマンモグラフィ・乳房US(ABVS・hand-held US)を施行した.ABVSによる病変の検出とカテゴリーに関してマンモグラフィとhand-held USのそれらと比較して評価した.
結果:浸潤癌は21例(19例が浸潤性乳管癌,1例が浸潤性小葉癌,1例が粘液癌),非浸潤性乳管癌は9例であった.
ABVS・hand-held USにより乳癌全例が描出され,かつカテゴリー4以上であった.一方,4例はマンモグラフィではカテゴリー1または2であった.
結論:今回の結果からABVSはhand-held US・マンモグラフィに劣らない診断機器であることが示唆される.今後も更なる症例の積み重ねにより,ABVSの診断精度を検討することが重要と考える.

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