日本臨床外科学会雑誌
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症例
限局性悪性胸膜中皮腫の1例
齊藤 保文柴田 諭赤山 幸一高橋 忠照万代 光一
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2011 年 72 巻 8 号 p. 1982-1987

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抄録

症例は69歳,男性.喫煙歴あり,明らかなアスベスト暴露歴はない.胸部X線検査で左上肺野に異常影を認め,CTにて左肺上葉背側に胸膜に接する結節を認めた.PET-CT検査で同部位にSUV4.0の集積を認め,悪性を強く疑い胸腔鏡下に手術を行った.腫瘍は壁側胸膜に存在する隆起性病変であり,肺と癒着を認めた.生検による術中迅速病理検査では確定診断困難であったため,肺の部分切除とともに,腫瘍を含む胸膜全層切除を行った.病理組織学的には核に異型性を有する紡錘形の腫瘍細胞の増殖を認め,免疫染色ではCytokeratin,EMA,vimentinが陽性で,CEA,CD34が陰性であり悪性胸膜中皮腫の所見であった.肉眼的,病理学的にも胸膜播種の所見はなく,限局した結節病変であり限局性悪性胸膜中皮腫と診断した.胸壁側断端に腫瘍浸潤を認めたため,術後放射線治療を行った.現在術後5年経過し再発は認めていない.

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