日本臨床外科学会雑誌
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症例
Dieulafoy's lesionによる虫垂出血で大量下血した1例
矢作 雅史高橋 正純薮野 太一岡本 経子鬼頭 文彦林 宏行
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2011 年 72 巻 8 号 p. 2066-2069

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抄録

症例は75歳,男性.粘血便を主訴に来院され,外来で意識消失したため,緊急大腸内視鏡検査を施行された.大腸内は大量の旧血液で充満し,横行結腸までしか観察できなかった.輸血により全身状態が安定したため,絶食,前処置後に再度施行された大腸内視鏡検査で,虫垂開口部から湧出性の出血が断続的に認められ,内視鏡的止血は困難と判断し,緊急開腹虫垂切除術を施行した.術後経過は良好で,術後11日目に退院した.
本症例は臨床的に虫垂憩室出血を疑ったが,病理組織学的診断では憩室や炎症所見は明らかでなく,虫垂のDieulafoy's lesionと診断された.下部消化管出血の原因として稀ではあるが虫垂のDieulafoy's lesionも考慮する必要があると考えられた.

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