日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性乳癌との鑑別を要した甲状腺癌乳腺転移の1例
浅羽 雄太郎堀 明洋森岡 淳芥川 篤史三輪 知弘前田 孝
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キーワード: 乳腺転移, 甲状腺癌
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2214-2218

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抄録

症例は57歳,女性.甲状腺癌術後加療中,左乳房腫瘤を主訴に当科紹介受診となった.左乳房B領域に弾性・硬,2.5cm大の腫瘤を触知し,マンモグラフィーでは高濃度・境界明瞭な腫瘤影を認め,超音波検査で腫瘤は大きさ25×24mm,境界明瞭,内部は不均一で嚢胞状エコーを呈した.core needle biopsy(CNB)を施行し,浸潤性乳管癌(充実腺管癌)の結果を得たが,以前に切除された甲状腺癌転移部の標本との比較・再検討により,甲状腺癌乳腺転移と確定診断し,乳房部分切除術を施行した.病理診断は甲状腺濾胞癌乳腺転移であった.
転移性乳腺腫瘍は稀な疾患であり,甲状腺癌乳腺転移の報告例は,さらに少ない.今回われわれは原発性乳癌との鑑別を要した甲状腺癌乳腺転移の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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