日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝転移を認めた肺類上皮性血管内皮腫の1例
有倉 潤安達 大史近藤 啓史前田 好章篠原 敏樹濱田 朋倫
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2246-2251

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抄録

肺類上皮性血管内皮腫は本邦での症例報告数が50例程度の稀な腫瘍である.われわれは肝転移を認めた肺類上皮性血管内皮腫の1切除例を経験したので報告する.症例は67歳,女性で他疾患経過観察中に胸部異常影を指摘され当院を受診した.胸部X線および胸部CTで右肺野に比較的境界明瞭な結節影を認めた.確定診断に至らず,胸腔鏡下肺部分切除術を施行.病理組織検査では,腫瘍細胞は肺胞内に充満するように存在し,空胞を有する異型細胞の増殖を認めた.免疫組織染色では血管内皮細胞マーカーであるCD31,CD34で腫瘍細胞が陽性となり肺類上皮性血管内皮腫の診断となった.その後早期に肝転移を生じ,肝部分切除術を施行した.外科的切除以外に有効な治療法が確立されておらず,胸腹部CT,脳MRIなどの画像検査を含め注意深い経過観察が必要である.

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© 2011 日本臨床外科学会
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