2011 年 72 巻 9 号 p. 2294-2297
症例は60歳,慢性腎不全の男性で,腹痛および悪寒を主訴に近医を受診.左下腹部の圧痛および反跳痛を認め,腹部単純CT検査にて左腹部に限局した小腸の拡張,壁肥厚と周囲の脂肪織濃度の上昇を認めた.限局性腹膜炎と診断され,翌日精査加療目的に当院に紹介入院となった.入院後に腹部単純CT検査を施行したところ,腹水の増量および微小なfree airの出現を認めたため,消化管穿孔と考え緊急手術を施行した.開腹所見では,Treitz靱帯から約30cm肛門側の空腸に穿孔を認め,周囲に限局された膿瘍を形成していた.同部位の小腸部分切除術を行い,小腸小腸吻合を行った.病理組織学的には穿孔部周囲に憩室形成を認め,小腸仮性憩室穿孔と診断された.術後経過良好にて,第22病日に退院となった.比較的まれとされている小腸憩室の穿孔を経験したため,報告する.