日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸内視鏡検査が保存的治療の選択に有用であった門脈ガス血症を伴う腸炎の2例
直井 大志佐藤 寛丈熊谷 祐子井上 康浩塚原 宗俊岡田 真樹
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2307-2312

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抄録

症例1:87歳,女性.糖尿病の既往がある.腹痛と嘔吐を主訴に受診.下腹部に圧痛を認め,軽度の反跳痛を伴っていた.腹部CT検査では門脈ガス血症と回腸から上行結腸の拡張,壁肥厚を認めた.緊急大腸内視鏡検査では回腸から上行結腸に全周性に粘膜の脱落とびらんを認めたが,明らかな腸管壊死の所見は認めず保存的治療を選択した.翌日より症状の改善を認め,その後軽快退院した.症例2:85歳,女性.皮膚筋炎にて15年間ブレドニゾロン(15mg/日)を内服中.右大腿骨頭壊死に対して人工骨頭置換術施行.第9病日より下痢,腹痛出現し,第14病日の腹部CT検査で門脈ガス血症と結腸全域に壁肥厚像を認めた.緊急大腸内視鏡検査では結腸全域に散在性に粘膜のびらんと浮腫を認めたが,明らかな腸管壊死の所見は認めず保存的治療を選択し軽快退院した.大腸内視鏡検査により保存的治療を選択し,軽快した門脈ガス血症を伴う腸炎の2例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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