日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢炎と十二指腸狭窄を合併したsegmental arterial mediolysisの1例
木原 一樹小池 直人大島 祐二武内 俊章有田 誠司渡橋 和政
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2344-2347

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抄録

Segmental arterial mediolysis(以下SAM)は,腹部内臓動脈破裂の原因疾患として報告数が近年増加している.症例は48歳男性.突然の上腹部痛で発症.CTで後腹膜に広範なhigh density areaを認め,後腹膜血腫を疑ったが,CTで明らかな出血源は特定できなかった.保存的治療で症状の軽快,後腹膜病変の縮小を認めつつあったが,十二指腸の浮腫による通過障害,急性胆嚢炎を発症した.出血源特定のため血管造影検査を施行したところ,前下膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた.臨床所見,造影所見からSAMによる動脈瘤の破裂と診断し,動脈瘤に対してコイル塞栓術を行った.破裂すると救命困難なことに加え,どの内臓動脈にも起こりうるため症状が多彩で診断は必ずしも容易ではないが,画像診断を適切に用いて迅速な診断,治療方針決定をすることが重要であると考えられる.

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© 2011 日本臨床外科学会
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