2011 年 72 巻 9 号 p. 2365-2369
今回われわれは腎癌手術後9年目に胆嚢転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は74歳男性.9年前に右腎細胞癌の診断にて右腎摘出術を受けた.腎癌術後5年目に肺転移をきたし,加療中であった.今回腹部造影CTにて胆嚢底部に強い造影効果を伴う約11mmの有茎性腫瘤を認めた.腹部エコー検査では胆嚢底部に11×8mmの低エコーの充実性腫瘍を認めた.肺転移もあることより腎癌からの胆嚢転移を疑った.診断的加療目的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.組織学的に明細胞癌であり,また免疫組織染色ではCEA,EMA,CK7では陰性であり,vimentinにのみ陽性を示した.以上より腎細胞癌の胆嚢転移と診断した.腎細胞癌よりの転移性胆嚢癌は本邦報告17例と極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.