2011 年 72 巻 9 号 p. 2394-2399
症例は45歳,男性.黄疸,発熱を主訴に来院.臍部を中心に巨大な腫瘤を触知し,高度な白血球増多および貧血,閉塞性黄疸を認めた.肝外胆管閉塞を伴う膵頭部~十二指腸下行脚の巨大腫瘍で,生検で上皮系の未分化な悪性腫瘍と診断された.慢性骨髄性白血病の腫瘤形成型急性転化も考えたが骨髄穿刺やNAPスコアは正常で,十二指腸もしくは膵頭部原発の悪性腫瘍を考えSSPPDを行った.膵頭部~十二指腸内を占める巨大な腫瘍で膵外に突出し,膵内胆管および十二指腸に直接浸潤していた.病理所見は退形成性膵管癌で免疫染色で一部G-CSFが陽性であり,白血球数著増と併せG-CSF産生性退形成性膵癌と診断した.
術後は約2カ月で肝転移,大動脈周囲リンパ節転移が出現,術後約9カ月で死亡した.