日本臨床外科学会雑誌
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症例
尋常性乾癬治療中に併発した胃癌の1例
高田 智司永瀬 剛司中川 基人今井 俊赤津 知孝金井 歳雄
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キーワード: 尋常性乾癬, 胃癌, 消化器癌
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2012 年 73 巻 10 号 p. 2544-2548

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抄録

症例は72歳,女性.8年前より尋常性乾癬に対し加療が開始され,3年前よりシクロスポリンの投与を受けていた.半年前より皮疹が増悪しシクロスポリンが増量され,上腹部痛を認めていた.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部大彎に約3cmの2型進行癌を認めた.幽門側胃切除術およびD2リンパ節郭清を行った.組織学的には低分化腺癌であり,T2(MP),N1(1/25),H0,P0,M0,Stage IIAであった.術後3カ月目に皮疹はほぼ消退し,7カ月目より尋常性乾癬への投薬は不要となった.本邦における尋常性乾癬と胃癌の合併症例の報告は自験例を含め8例あり,そのうち6例で術後に皮疹の軽快もしくは消退を認めた.消化器癌は尋常性乾癬の増悪因子のうちの一つである可能性が高いと思われた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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