2012 年 73 巻 10 号 p. 2600-2605
症例は46歳,男性.突然発症した四肢の痺れと筋肉痛の精査・加療目的で当院神経内科に入院,入院後腹痛が出現,入院第5病日の腹部レントゲン写真で著明に拡張した大腸ガス像を認めたため腹部CT検査を施行したところ,右半結腸を中心とした高度拡張所見と一部上行結腸壁内に気腫像が確認されたことから急性結腸偽性閉塞症(Ogilvie症候群),結腸切迫破裂と診断,同日,緊急減圧術を施行した.結腸の減圧目的で虫垂を切除,虫垂切除断端からの腸管内直接吸引による減圧と上行結腸の漿膜断裂部の縫合修復を行うとともに,経鼻的にイレウスチューブを留置した.術後第24病日に軽快退院した.本例は末梢,自立神経症状を認めた上に腹部急性症状を伴い,また,尿中コプロポルフィリンの上昇を認めたことから急性ポルフィリン症による急性結腸偽性閉塞症が疑われ,人工肛門造設を伴わない外科的緊急減圧術で腸管穿孔を回避出来た1例と考えられた.