日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆管ステントを核としたstent-stone complexによる胆石イレウスの1例
津田 一郎柴崎 晋戸井 博史中村 貴久長谷 泰司
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2012 年 73 巻 10 号 p. 2637-2641

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抄録

症例は71歳,女性.他院で腹腔鏡下胆嚢摘出術後の偶発胆嚢癌に対し肝床胆管切除,胆管空腸吻合術が施行された.2年9カ月後胆管空腸吻合部狭窄に金属胆管ステントが留置された.その5年10カ月後に左下腿骨骨折を受傷し,当院へ入院した.リハビリ入院中に上腹部痛と嘔吐を認めイレウスを発症した.CTで胆管空腸吻合部の胆管ステントとこれを核とする2cm大の結石が複合体となるstent-stone complex(以下,SSCと略記)が,回腸へ脱落し発症した胆石イレウスと診断された.イレウス管による腸管減圧が奏効しないため,臍部小開腹によるSSCの摘除が施行され,術後経過は良好であった.長期間の胆管ステント留置にはSSCが合併することを念頭に置かなくてはならない.今回われわれはSSC逸脱による胆石イレウスという非常にまれな症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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