日本臨床外科学会雑誌
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症例
WHO分類では胆管内乳頭状腫瘍に分類される胆管嚢胞腺癌の1例
朴 秀吉神賀 正博真船 太一中野 順隆今村 史人寺島 秀夫
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2012 年 73 巻 10 号 p. 2652-2656

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抄録

症例は77歳,男性.心臓超音波検査を施行されたところ肝腫瘤を指摘された.腹部超音波,腹部CT,MRIにて肝左葉に単房性の嚢胞性腫瘍を認め,嚢胞壁内に結節性病変を認めた.胆管嚢胞腺癌を強く疑い,肝左葉切除術を施行した.切除標本では単房性の嚢胞性腫瘍であり,嚢胞内には胆泥が混ざった粘液が充満していた.嚢胞壁の内部には数カ所で壁在結節が形成されていた.病理組織学的検査では腫瘍細胞は乳頭状に増生し,胆管嚢胞腺癌と診断した.卵巣様間質は認めなかった.原発性肝癌取扱い規約では胆管嚢胞腺癌と診断されるが,WHOの分類では胆管内乳頭状腫瘍に分類される症例であると考えられたため,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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