日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後8年目に肺転移再発をきたした膵癌の1例
石原 博雅初野 剛田中 晴祥関 幸雄近藤 建
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キーワード: 膵癌, 肺転移, 長期生存
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2012 年 73 巻 10 号 p. 2663-2668

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抄録

膵癌は術後再発率も高く予後不良な疾患である.今回膵癌術後8年経過し肺転移を認め,肺下葉切除を施行した症例を経験したので報告する.症例は68歳,男性.2002年11月黄疸にて当院受診.精査の結果,膵頭部癌と診断し膵頭十二指腸切除術+術中抗癌剤投与(Gemcitabine,1,000mg)+術中照射(20Gy)を施行した.術後病理診断はModerately differentiated adenocarcinoma,20mm,T1,N1,M0;pStage IIIであった.術後は外来にて化学療法を3年間継続し,その後も定期的に外来経過観察していた.術後8年目に施行した胸部単純CTにて右肺下葉(S8)に30mm大の結節影を認め,精査入院となった.経気管支肺生検(TBLB)施行し,免疫組織学的所見より膵癌肺転移が疑われた.その他遠隔転移など認めず切除可能と判断し2010年3月に右肺下葉切除術を施行した.その後,多発脳転移,骨転移を認め,2011年6月に永眠された.膵癌術後に長期生存し,腹腔内転移,腹膜播種を伴わず肺転移をきたし,切除術施行した症例はまれであり報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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