2012 年 73 巻 11 号 p. 2741-2744
在宅静脈栄養管理が必要な患者や,重症心身障害患者などに対し,経静脈的栄養管理のため完全埋め込み型中心静脈カテーテル(以下CVP)が挿入され,長期留置に至ることも多い.そのなかで血管壁への固着や,側弯症や上肢の屈曲によりCVPに過度の負荷をかけ鎖骨と第一肋骨の圧挫によるpinch-off syndromeをきたすなど合併症も認める.われわれはCVPの抜去困難であった4例について検討した.全例が重症心身障害患者であり,CVP挿入期間は8-13年であった.3例が右鎖骨下静脈に,1例が左鎖骨下静脈に留置された.2例は抜去のために鎖骨の一部を切除し鎖骨下静脈を切開してカテーテルを摘出した.残りの2例は血管壁に強固に癒着しており,合併症を生ずる可能性は低いと判断し抜去せずに経過観察を行っている.当科での経験をもとに文献的考察をふまえ報告する.