日本臨床外科学会雑誌
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症例
打撲による腹腔内出血にて開腹を要した脾リンパ管腫の1例
奥川 郁中野 且敬大坂 芳夫高橋 滋土屋 邦之迫 裕孝
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2951-2956

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抄録

症例は53歳,女性.背部打撲後の腹痛で,救急受診した.腹部造影Computed Tomography (CT)で脾頭側とDouglas窩に少量の液体貯留あり腹腔内出血が疑われた.救急医が観察入院を勧めたが,患者が拒否し帰宅した.翌朝受診時には腹部所見異常なく,血液検査上貧血の進行を認めなかった.診察1時間後に急激な腹痛が生じ,脾損傷による腹腔内出血と診断された.貧血が進行し血圧が不安定なため,緊急脾摘術を施行した.摘出脾臓には脾門部損傷なく,下極に小さな被膜損傷を認めた.病理診断は脾リンパ管腫であった.脾臓の軽微な損傷のみで緊急開腹を要したのは,脾リンパ管腫であったためと考えられた.若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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