日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
小腸カルチノイドと小腸GISTを併発した神経線維腫症1型の1例
北出 貴嗣園山 輝久若狭 基見山崎 茂樹崔 聡仁石原 陽介
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 11 号 p. 3003-3007

詳細
抄録
小腸カルチノイド,小腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)を合併したvon Recklinghausen病(以下VRDとする)の1例を経験した.症例は77歳女性.既往歴では乳癌の手術歴がある.嘔吐,腹痛を主訴に来院,CTにてイレウスと診断,その原因として小腸腫瘍を疑い手術を施行した.Treitz靱帯より約160cmの小腸に約2cmの腫瘍を認め,漿膜がひきつれていた.それとは別にTreitz靱帯より140cmの小腸に約3mmの腫瘍を認めた.病理組織検査にて,それぞれカルチノイドとGISTと診断された.VRDにカルチノイドを合併した症例の報告は散見されるが,ほとんどが十二指腸で,小腸カルチノイドはまれである.また,本症例はVRDに合併した乳癌,小腸GIST,小腸カルチノイドの3重複腫瘍でもあり,この点からも貴重な症例である.今回自験例に若干の文献的考察を加え報告する.
著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top