日本臨床外科学会雑誌
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症例
局所再発を繰り返した乳腺多形腺腫の1例
井上 英美千島 隆司木村 万里子市川 靖史大城 久遠藤 格
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キーワード: 再発, 乳腺多形腺腫
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3052-3056

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抄録

症例は41歳の女性,検診で右乳房腫瘤を指摘され当院を受診した.29歳と36歳時に右乳房E領域の乳腺多形腺腫に対して,他院で腫瘍摘出術を施行されている.身体所見では,右乳房EAB領域に境界不明瞭な2.3cmの腫瘤を触知し,針生検では,乳腺多形腺腫の再発が疑われた.病理学的に明らかな悪性所見は認めなかったため,整容性を考慮して乳頭温存乳房部分切除術を施行した.術後2年,明らかな局所再発は認めていない.多形腺腫は唾液腺に多く認める良性腫瘍であるが,乳腺原発の報告は少ない.不十分な切除に起因する局所再発や悪性転化が報告されているため,術前に乳腺多形腺腫と診断された場合は,十分な切除断端距離を確保し,腫瘍被膜を損傷しないように切除する必要がある.

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© 2012 日本臨床外科学会
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