2012 年 73 巻 12 号 p. 3150-3155
症例は48歳,男性.15年前に出血性十二指腸腫瘍で緊急手術の既往あり.腫瘍は十二指腸第3部に位置し,30×28mm大であった.当時の病理診断は平滑筋腫だったが,再検査によりc-kit陽性で,GISTと診断変更された.今回他疾患治療中に偶然,横行結腸間膜に9×6cm大の嚢胞様腫瘤を指摘された.消化管との連続性なく,リンパ節腫大や腹水も認められなかった.横行結腸間膜腫瘍の診断で手術を施行.摘出標本は単房性嚢胞性腫瘍で,c-kit陽性で,類上皮型GISTと診断された.術後経過良好.術後補助療法としてイマチニブを1年間内服.術後1年4カ月現在,再発は認められていない.15年前に十二指腸GISTの手術歴があり,今回の腫瘍の部位と近接しており,横行結腸間膜への再発と診断した.GISTは術後晩期再発を生じる症例があり,自験例のように初発病巣が低リスク分類であっても長期followが必要である.