日本臨床外科学会雑誌
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症例
インフリキシマブ治療中のpress through package誤飲による小腸穿孔の1例
林 達也川本 潤三浦 世樹
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3177-3181

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抄録

症例は83歳,女性.Press through package(PTP)を誤飲し近医受診.腹痛がないために経過観察となった.患者は関節リウマチに対し抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)による治療中であり,PTP誤飲の翌日,インフリキシマブを投与.2日後にはメトトレキサート(MTX)を投与された.誤飲から3日後に腹痛が出現し当科外来を受診した.腹部CTで回腸にPTPを認め,腸管周囲には腹水貯留を認めた.血液検査上炎症反応も上昇しており,同日緊急手術を施行した.開腹すると,混濁腹水を中等量認め回腸にPTPを触知.その近傍の回腸に白苔が付着しており微小穿孔性腹膜炎と診断し,所見を認める回腸を切除した.術後は感染等の合併症は無く経過良好で,独歩退院した.今回はインフリキシマブ投与中の周術期管理および経過,PTP誤飲について若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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