日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
鼠径ヘルニアに対する3D Max Light®を使用したtotally extraperitoneal repair法の経験
若杉 正樹赤松 大樹吉留 克英鳥 正幸荻野 信夫西田 俊朗
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2012 年 73 巻 2 号 p. 299-303

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抄録

慢性疼痛,違和感といった術後合併症を軽減するライトウェイトメッシュや腹腔鏡下手術の発達により,成人鼠径ヘルニア修復術式が多様化している.今回,ライトウェイトメッシュである3D Max Light®(Bard社)を使用して,拡張バルーンを用いないTEP法による鼠径ヘルニア修復術を経験した.対象は男性18例,女性2例で平均年齢は60.9歳,20例23部位であった.間接ヘルニア16部位,直接ヘルニア6部位,併存型1部位であった.平均手術時間は片側ヘルニアで81.8分,両側ヘルニアで133分であった.平均術後在院日数は3.0日であった.平均観察期間は3.2カ月であった.術後1カ月で漿液腫を1例認めたが,術後3カ月には消失した.その他合併症,ヘルニア再発を認めなかった.特別な道具を使わず経済的で,術後違和感や疼痛といった合併症を減らす可能性のある3D Max Light®を用いた本術式は従来からの鼠径ヘルニア手術法と比較して遜色なく,有用であると推察された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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