日本臨床外科学会雑誌
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症例
血清抗p53抗体の上昇を認めた虫垂杯細胞型カルチノイドの1例
櫛田 正男木暮 道彦鈴木 弘行金澤 幸夫根本 剛後藤 満一
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2012 年 73 巻 2 号 p. 400-405

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抄録

症例は60歳,女性,既往歴は10年前に虫垂切除術.右下腹部痛を主訴に入院,下部消化管内視鏡検査にて盲腸に2型腫瘍を認め生検にて印環細胞癌が示唆された.血液検査にて血清抗p53抗体が上昇していた.開腹に際し腹腔内全域に広がる播種を認めたため回盲部切除術を施行,病理診にて虫垂原発の杯細胞型カルチノイド(goblet cell carcinoid)p53の免疫染色陽性と診断された.術後5-FUを中心とする化学療法を継続,血清抗p53抗体が低下した,経過一年現在外来通院中である.虫垂の杯細胞型カルチノイドは比較的稀な疾患で腺癌類似像を有し予後不良とされる,本邦報告は99例であった.p53の免疫染色例は11例で陽性6例,血清抗p53抗体の既報告は無く本例が初回と思われた,腫瘍マーカーを中心に若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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