2012 年 73 巻 2 号 p. 406-410
症例は56歳,男性.2004年4月当院人間ドックにおいて下腹部腫瘤を指摘され紹介される.画像診断では骨盤内,下腹部が巨大腫瘤にて占拠されていた.腫瘤は直腸,S状結腸を粘膜外性に圧排していた.エコーガイド下に経皮的針生検を施行したところ,solitary fibrous tumor(SFT)が疑われた.2004年6月開腹下に手術を施行した.腫瘤は巨大であり,骨盤内を占拠していたが,剥離可能であった.腫瘤はS状結腸,直腸の腸間膜より発生したものと考えられた.直腸低位前方切除術にて完全摘除可能であった.病理組織学的診断は,径25cmのSFT,low-grade malignancyであった.術後経過は良好で,約7年後の2011年現在,再発徴候なく健在である.