2012 年 73 巻 2 号 p. 411-415
57歳,女性.主訴は下血,貧血.副腎シンチの前処置としてsennoside 24mgを内服し腹痛,ショックが出現したが,ループ式のS状結腸人工肛門を造設しショック状態を脱した.術前に内視鏡検査を行ったところ人工肛門の口側に潰瘍性病変を認めた.人工肛門造設後32日目に左結腸切除を行った.直接浸潤のため子宮合併切除と小腸部分切除を行った.切除標本では,3分の2周性のS状結腸癌の20cm口側から25cmの3本の縦走潰瘍を認め,閉塞性大腸炎と診断した.全周性でなくても左側の大腸狭窄の疑われる症例に下剤を投与する場合は注意が必要である.