日本臨床外科学会雑誌
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症例
消化管穿孔との鑑別が困難であった腸管気腫症の1例
中島 洋介山崎 慎太郎中山 壽之檜垣 時夫東風 貢高山 忠利
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2012 年 73 巻 2 号 p. 471-474

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抄録

症例は79歳,女性.脳梗塞後の右片麻痺があり老健施設に入所中であった.プラスチックスプーンの破片を誤飲し,緊急内視鏡を施行され破片は内視鏡の観察範囲内に認められなかったが,後日便中に確認された.1週間後腹部膨満と食欲不振を主訴に受診した.腹部X線で左右の横隔膜下に大量の腹腔内遊離ガスと腹部広範に腸管の気腫像を認めた.CT検査では腹腔内遊離ガスと小腸壁内に腸管気腫像を認めた.炎症反応および理学所見は弱かったが腸管穿孔を否定できず開腹術を施行した.手術所見はTreitz靱帯の30cm肛門側から,回腸末端手前20cmまでの広範囲の小腸に握雪感を伴う壁内気腫を認めたが,穿孔部を認めなかった.腸管気腫症と診断し,腹腔内を洗浄後閉腹した.術後経過は良好で第19病日に退院した.
気腫像の変化をCTで経時的に観察した症例報告は検索した限りでみつからず興味ある症例として報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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