日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜脂肪肉腫(15.1kg)の1例
岡田 尚也中村 文隆中村 透鈴木 温安保 義恭樫村 暢一大森 優子篠原 敏也
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2012 年 73 巻 2 号 p. 486-491

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抄録

症例は82歳,男性.2008年11月巨大腹部腫瘍の診断にて精査加療目的に当科入院となった.CT・MRI検査にて,腹腔内全体に存在し腹腔内臓器を著明に圧排している巨大脂肪肉腫を第一に考えた.腫瘍が巨大であり,術前から切除不能の危惧があった.また予後は不良と考えられた.手術適応の判断に苦慮したが,完全切除とQOLの改善を目指して腫瘍摘出術を施行した.完全切除は不可能であったが,手術は安全に行うことができ,QOLは改善した.標本は重量15.1kg,病理組織は粘液型脂肪肉腫の中に多型細胞が混在していた.本症例における手術適応の妥当性に関して,本邦における巨大脂肪肉腫報告例と比較検討し,文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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