2012 年 73 巻 2 号 p. 492-496
症例は57歳,男性.2004年10月に両側鼠径ヘルニアに対して他院にて両側ヘルニア修復術を施行された.2011年4月に突然右鼠径部から排膿を認め,保存的治療で軽快しないため同年6月に当院を受診した.前回の手術創部から2横指離れた右鼠径部に瘻孔形成と排膿を認め,腹部CTと瘻孔造影検査の結果遅発性メッシュ感染と診断した.遅発性感染であり,かつ瘻孔からの排膿が持続するため手術の方針とし,メッシュ摘出と瘻孔切除を施行した.術後経過良好で術後7日目に軽快退院した.その後明らかなヘルニアの再発は認めていない.遅発性感染例では保存的治療で治癒を期待するのは困難で,手術によるメッシュ摘出が有効な治療であると考えられた.