日本臨床外科学会雑誌
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症例
骨髄異形成症候群に胃癌と上行結腸癌の同時性重複癌を合併した1例
河合 朋昭砂原 正男長佐古 良英小林 清二高橋 学小笠原 和宏
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2012 年 73 巻 2 号 p. 502-508

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抄録

症例は77歳,男性.骨髄異形成症候群に対して経過観察中であった.腹痛を契機に行われた消化管検査で胃前庭部小彎前壁寄りに10mm大の0-IIc・ul(+)病変と上行結腸に10mm大の0-Is病変が認められた.骨髄異形成症候群に合併した胃癌と上行結腸癌の同時性重複癌と診断され,幽門側胃切除術(D1+α),および結腸右半切除術(D2)を施行した.病理組織学的検査で胃の病変は高分化腺癌,深達度M,ly0,v0,N0,Stage I Aであった.上行結腸の病変は中分化腺癌,深達度SM2,ly1,v1,N0,Stage Iであった.術後合併症はなく,第15病日に退院した.本邦における骨髄異形成症候群に合併した消化器癌の報告は少なく,特に胃癌と大腸癌の同時性重複癌合併例は自験例を除いて1例のみと極めて稀である.骨髄異形成症候群の重複発癌リスク,本病態の手術侵襲への影響について若干の考察を加え,報告した.

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© 2012 日本臨床外科学会
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