日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜由来の悪性線維性組織球腫(6.2kg)の1例
高地 良介戸倉 夏木島田 長人上田 一夫中野 太郎高塚 純
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2012 年 73 巻 3 号 p. 705-708

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抄録

症例は47歳,男性.2010年3月に腹部膨満感,両下肢から陰嚢までの腫脹を認め,その後右側腹部から背部の疼痛が出現したため,当院外科受診.各種画像検査にて腹腔内全体を占拠する巨大腫瘤を認め,腹腔穿刺による生検結果にてmalignant fibrous histiocytoma storiform-myxoid typeの診断を得た.2010年7月に手術施行.腫瘍は内腔に液体を有する多数の隔壁構造を有し,腹腔内全体を占拠していた.消化管と右腎臓は脊椎の左側に圧排されていた.腫瘍は分割して摘出したが,肝右葉下面と後腹膜に接する部分は浸潤による癒着が強固なため,一部摘出できなかった.6.2kgの腫瘍組織を摘出したところ,消化管は通常の位置に戻った.術後の病理組織学的検査にて,myxoid~pleomorphic MFHと診断された.後腹膜由来の巨大なMFHは,本邦では稀であり文献的考察を加え報告した.

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© 2012 日本臨床外科学会
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