日本臨床外科学会雑誌
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原著
右側結腸癌手術に必要な主要血管の分布に関する検討
橋爪 正吉澤 忠司中山 義人山田 恭吾松浦 修神 寛之池永 照史郎一期青木 計績川嶋 啓明小堀 宏康柴崎 至遠藤 正章
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2012 年 73 巻 4 号 p. 761-768

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抄録

右側結腸癌手術に必要な血管分布をD3郭清を伴う結腸右半切除術62例の術中観察から分析した.回結腸動静脈は全例に存在した.右結腸動脈は42%が上腸間膜動脈(SMA),右結腸静脈は45%が上腸間膜静脈(SMV)から直接分岐した.回結腸動脈起始部と中結腸動脈(MCA)起始部間距離は2.2±0.8cm(0-4cm)で90%は1-3cmに分布した.右側結腸に分布するMCAはすべて中結腸静脈より尾側でSMAから分かれSMAに平行に頭側に走行後分岐する.起始部と第一分岐間距離は0-6cm(平均2cm)と個体差がある.確実な郭清範囲の決定には回結腸動静脈根部付近から剥離を開始し郭清を頭側に進めるのが合理的である.横行結腸からの主な静脈は1-3本あり,68%はSMVへ直接1-2本,22%は左側はSMV,右側は胃結腸静脈幹(GCT)へ,10%はGCTへ流入した.主要血管の正確な同定は郭清範囲の適正化と術式の標準化に貢献する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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