日本臨床外科学会雑誌
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症例
脾臓に限局したサルコイドーシスの1例
野村 尚弘山下 克也武藤 俊博岡本 喜一郎佐藤 健市原 透中村 悦子
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キーワード: サルコイドーシス, 脾臓
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2012 年 73 巻 4 号 p. 976-981

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抄録

症例は57歳,女性.検診のFDG-PETにて脾臓に集積を認めたため,精査目的に当院紹介となった.造影CTでは脾臓内に10mm大の濃染不領域を認めた.MRIでは同部位はT1強調像でわずかに高信号,T2強調像で低信号であった.上下部消化管に異常所見は認めなかった.脾臓原発悪性リンパ腫または炎症性偽腫瘍の疑いにて,腹腔鏡補助下脾臓摘出術を施行した.割面には黄白色調の多発結節を認めた.病理組織学的には,乾酪壊死を伴わない肉芽腫で,ランゲルハンス巨細胞,アステロイド小体を認め,脾サルコイドーシスと診断した.肺,眼,皮膚には病変は認めなかった.サルコイドーシス症は,全身性肉芽腫性疾患であり,脾臓に限局した症例は比較的まれである.今回,脾臓に限局したサルコイドーシス症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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