2012 年 73 巻 5 号 p. 1094-1100
症例は15歳,男性.息切れ,全身倦怠感を主訴に近医受診し,貧血の精査・加療目的に当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査とPET-CT検査で胃体下部後壁に胃壁内外に突出する約5cmの多結節状腫瘤を認め,生検の結果,胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.開腹下に胃局所切除を施行した.病理学的には6.2cm×4.0cm×2.2cm大の病変で,免疫染色ではKIT(CD117)陽性,CD34陽性でGISTと診断された.現在まで術後10カ月再発認めず経過観察中である.今回われわれは黒色便の持続による貧血を主訴に発見し,胃局所切除を施行した稀な小児胃GISTを経験したので,若干の文献的検討を加え報告する.