2012 年 73 巻 5 号 p. 1154-1158
患者は71歳,男性.以前からS状結腸過長症を指摘され,捻転を繰り返し大腸内視鏡下に整復されていた.今回,S状結腸に腺腫を指摘され当院紹介.腺腫のすぐ口側に縦走潰瘍を伴う狭窄を認め,繰り返す捻転による狭窄型虚血性大腸炎と診断.捻転を繰り返していることと,腺腫の内視鏡的切除が困難であることから手術適応と判断し腹腔鏡下S状結腸切除を施行.腹腔鏡下で剥離・授動し,小開腹にて拡張したS状結腸から狭窄部までを切除して機能的端々吻合を施行した.S状結腸捻転は慢性便秘を呈する高齢者に多く,大腸内視鏡による非観血的整復が治療の第一選択となるが,整復非成功例や再発例に対してはS状結腸切除術が必要となる場合がある.本症例は手術を選択し,より侵襲が少ない腹腔鏡下での結腸切除術を行い,良好な経過を得たので報告する.